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  • 全国でクマ被害が過去最悪に——「人を恐れぬクマ」が各地で出没、深刻化する共存の課題

    全国でクマ被害が過去最悪に——「人を恐れぬクマ」が各地で出没、深刻化する共存の課題

    2025年秋、日本列島ではクマによる被害が相次いでいる。山間部にとどまらず、住宅街や学校周辺にまで姿を見せるケースも増加。専門家は「人を恐れないクマが確実に増えている」と警鐘を鳴らしている。
    今年のクマによる死者数と負傷者数は過去最多ペースで推移しており、全国的な対策の見直しが急務となっている。


    ■ 東北を中心に被害が連鎖

    10月、山形県南陽市では早朝、通勤途中の市職員(58)が体長約1メートルのクマに襲われ、右手を骨折する重傷を負った。
    また福島県大玉村では、牛舎で餌やり中だった50代男性が突然クマに襲われ、後頭部と腕に重傷。付近では2頭のクマが確認され、1頭がその後駆除された。

    これらの事例はいずれも住宅地や生活圏に近い場所で発生しており、「山の動物」が「里の現実問題」に変わりつつあることを浮き彫りにしている。


    ■ 背景に「餌の不足」と「個体数の増加」

    専門家によると、今年はドングリなどの山の実りが全国的に不作。
    飢えたクマが人里に降りてくるケースが急増している。
    また、過去の保護政策によって個体数が回復し、人との距離が縮まった結果、クマが人を学習し始めているという。

    さらに、過疎化によって里山の管理が行き届かなくなり、廃屋や果樹が放置されたままになっている地域も多い。
    それが“餌場”としてクマを引き寄せる要因になっていると指摘されている。


    ■ 対策の最前線——「クマハンター」育成と地域連携

    環境省は、被害の深刻化を受け、専門的にクマを捕獲・管理できる「クマハンター」の育成支援を開始した。
    自治体では、赤外線カメラの設置や電気柵の拡充など、地域ぐるみの対策を進めている。

    一方で、現場の猟友会からは「高齢化と人手不足で対応が追いつかない」という声も。
    今後は市民参加型の防除活動や、ドローンを用いた監視など、テクノロジーの導入も期待されている。


    ■ もし遭遇したら——命を守る3つの鉄則

    1. 背を向けて走らない。 クマは逃げるものを本能的に追う。
    2. 音で存在を知らせる。 鈴やラジオを携帯し、遭遇自体を避ける。
    3. 餌を放置しない。 果実や生ゴミを屋外に置かないことが最重要。

    警察庁や環境省は、今後さらに防災無線やアプリを通じて出没情報をリアルタイムで共有する仕組みを整備中だ。


    ■ 専門家の警鐘:「もはや“森の奥の話”ではない」

    東京農業大学の野生動物学者・岡本准教授は語る。

    「クマの行動範囲は広く、1日に10km以上移動する個体も珍しくありません。住宅街や通学路での遭遇は、もはや“例外”ではなく“新常態”です。」

    人とクマの共存には、捕獲や駆除だけでなく、地域の理解と行動変容が不可欠だ。
    自然と人間の境界線があいまいになる中で、社会全体での対策強化が求められている。


    📰まとめ

    • クマによる被害が過去最多、死傷者も増加傾向
    • 餌不足・個体数増加・人の減少が複合要因
    • 環境省が専門ハンター育成へ、自治体は監視強化
    • 「遭遇しない工夫」が最大の防御

    “森の静寂”が、人の生活圏にまで迫っている。
    この冬、クマとの距離を意識することが、私たち自身を守る第一歩だ。